タヌキ駆除の全知識をプロが解説!

タヌキは馴染み深い動物ですが、農作物の被害や家庭菜園への侵入、屋根裏や軒下への巣作りなど、人間の生活に問題を引き起こすことがあります。こうした被害が発生すると、適切なタヌキ駆除の方法について知りたいと考える方も多いでしょう。

しかし、タヌキは鳥獣保護管理法の対象となっている動物で、捕獲や駆除を行う際は法律を守る必要があります。むやみに駆除を行うと、法律違反に問われるおそれもあるため注意が必要です。

本記事では、タヌキ駆除に関する正しい知識を専門家がわかりやすく解説します。駆除の流れや注意点、かかる費用や似ている動物との見分け方も紹介しているので、タヌキ被害に困っている場合はぜひ参考にしてください。

タヌキ駆除の流れ

効果的なタヌキ駆除を行うためには、法律を遵守しながら、適切な手順で進めることが重要です。まずは、タヌキ駆除の基本的な流れを3つのステップに分けて解説します。

家・敷地から追い出す

タヌキが家や敷地の中に現れた場合、まずはそこから追い出しましょう。追い出す際は、タヌキが苦手とする以下のようなニオイを利用するのが効果的です。

  • 木酢液
  • 竹酢液
  • ミント(ハッカ油)
  • タヌキ用の忌避剤
  • 害虫駆除用のくん煙剤

タヌキは木酢液や竹酢液、ミントの強いニオイを嫌がります。タヌキが出没した場所や被害が発生している場所にこれらを撒いたり、専用の忌避剤を設置したりすることで効果が期待できます。

床下や屋根裏などの閉鎖された場所には、害虫駆除用のくん煙剤(例:バルサン)を使うのも有効です。

侵入経路を塞ぐ

タヌキを追い出した後は、再び侵入されないよう侵入経路をしっかり塞ぐことが重要です。以下のポイントを参考にしてください。

溜めフンをされる場所の侵入経路を防ぐ

タヌキには、溜めフン(一箇所にまとめてフンをする)と呼ばれる習性があります。

溜めフンをされる場所があれば、そこへの侵入経路を確実に塞ぎましょう。フェンスに隙間や穴があるなら、ワイヤーメッシュやネット、金網、電気柵を使用して塞ぎます。タヌキは7.5cmほどの隙間があれば侵入できるため、網目が7.5cm未満の素材を選びましょう。

農作物を守るために周囲を囲む

農作物に被害が出ている場合は、ワイヤーメッシュやネットで囲いを作りましょう。タヌキは1mほどの跳躍力があるため、柵の高さは1m以上にすることが必要です。高さが足りない場合は、外側に約20度の傾斜をつけると効果的です。

柵の上部を外側に傾けることで、タヌキがよじ登る際のバランスを崩すことができ、侵入を防ぎやすくなります。

家屋への侵入口を塞ぐ

家屋周辺の7.5cm以上の隙間や穴をすべて塞ぎましょう。タヌキは主に床下から侵入しますが、木登りもできるので屋根裏に入り込む場合もあります。床下と屋根裏の両方をしっかり確認して対策してください。

清掃する

タヌキのフンを放置すると、ノミやダニが発生し、人やペットに悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、タヌキを追い出した後は、必ずフンの清掃と消毒を行いましょう。

清掃時は、安全のため、以下を着用してください。

  • 手袋
  • マスク
  • ゴーグル
  • 長袖の服

これらのアイテムを身に着けることで、直接触れるリスクを防げます。

そして、タヌキの糞を取り除いた後はしっかりと消毒してください。現時点ではタヌキの糞による重大な感染症の報告はありませんが、衛生面でのリスクを減らすため、細心の注意を払いましょう。

適切な掃除と消毒を徹底することで、健康への影響を防げます。

タヌキの駆除を行う場合の注意点

タヌキ駆除を行う際は、法律の遵守や安全面への配慮が必要です。適切な手順を踏まずに駆除を行うと、法的トラブルや健康被害のリスクが生じる可能性があります。本章では、タヌキ駆除を行う際に押さえておくべき注意点を具体的に解説します。

直接触れない

駆除を行う際、タヌキに直接触れないようにしてください。タヌキは野生動物であり、病気・寄生虫を保有しているリスクがあるので、直接触れないことはもちろん、むやみに近づかないようにしましょう。

捕獲してはいけない

タヌキを駆除する際には、無許可で捕獲してはいけません。その理由は、タヌキが鳥獣保護管理法で保護されているからです。この法律は生物の多様性や生活環境を守るため、猟具の使用などを含めた捕獲方法に制限を設けています。

許可なく捕獲したり、誤ってタヌキを傷つけたりすると、鳥獣保護管理法に違反する可能性があります。違反した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されるため、十分注意が必要です。

自分でタヌキを捕獲する場合は、自治体で捕獲許可を申請する必要があります。申請の主な手順は次のとおりです。

  • 申請書類の作成:鳥獣の捕獲等許可申請書や有害鳥獣捕獲依頼書などを用意
  • 申請窓口への提出:お住まいの自治体の担当窓口に書類を提出
  • 捕獲報告:捕獲後に結果を報告

また、タヌキを捕獲する際には猟銃免許が必要です。ただし、自治体によっては、自宅敷地内での捕獲について狩猟免許を不要としている場合もあります。事前に自治体に確認し、適切な手続きを踏むことが重要です。

参考:鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律

怪我をするリスクがある

タヌキ駆除を行う際は、怪我をするリスクがあることを十分に理解して注意深く対応することが重要です。タヌキは野生動物であり、追い詰められると攻撃的になる場合があります。

怪我のリスクを避けるためには、タヌキ駆除の専門業者に依頼するのが最善です。専門業者は法律に基づいた手順で対応するだけでなく、必要な装備と経験を持っているため、安全かつ確実な駆除が可能です。

市役所は駆除してくれない

タヌキによる被害が発生した場合、「市役所が駆除をしてくれる」と考える方は少なくありません。しかし、多くの自治体ではタヌキ駆除そのものは行っていません。

市役所や自治体が提供するのは、捕獲の許可手続きの案内や相談対応のみに限定されるのが一般的です。なので、タヌキ駆除を進める際は、ご自身で対応するか、専門業者に依頼する必要があります。

タヌキ駆除にかかる費用

タヌキ駆除にかかる費用について、自分で対応する場合と専門業者に依頼する場合に分けて解説します。

自分で駆除する場合

自分でタヌキ駆除を進める場合、以下のアイテムの購入で費用が発生します。

  • 忌避剤:1,000円~5,000円程度
  • ワイヤーメッシュやネット、金網、電気柵:2,000円~50,000円程度
  • 清掃用具:5,000円〜10,000円程度

自力でタヌキを駆除する場合、業者に依頼するよりも費用を抑えられる反面、デメリットもある点を把握しておきましょう。

まず、市販の忌避剤には効果的なものもありますが、使い方に慣れていないと十分な効果が現れないことがあります。タヌキを追い出す際、高所での作業が必要になる場合もあり、怪我のリスクが伴います。

作業に不安がある場合は、専門業者への依頼も検討してください。効率的かつ安全な対策を行うことが、被害を防ぐためのポイントです。

業者に依頼する場合

タヌキ駆除を業者に依頼する場合の費用は、一般的に20万円から50万円が相場です。ただし、家の状況や足場の設置が必要な場合には、さらに費用が高くなることもあります。

業者に依頼する最大のメリットは、確実で効果的な駆除が期待できる点です。専門知識を持つ業者に任せれば、手間がかからず、安全かつ効率的に作業が完了します。

ただし、費用面が大きな負担となり、依頼をためらう方も少なくありません。費用と効果のバランスを考え、信頼できる業者を選ぶことが重要です。事前に見積もりを取り、納得した上で依頼することで、安心して駆除を任せられます。

タヌキが近くにいるサイン

タヌキの生態や特徴について、どれくらいご存じでしょうか?

アライグマやアナグマ、ハクビシンなど、似た動物が多いため、「身近にタヌキがいると思っていたら、実は別の害獣だった」ということも少なくありません。

しかし、タヌキ特有の特徴やサインを知っておけば、見分けるのはそれほど難しくありません。ここでは、タヌキが近くにいる場合に見られるサインをわかりやすく解説します。

鳴き声

タヌキは、威嚇したり喧嘩をしたりするときに鳴く習性があります。しかし、嬉しいときや楽しいときには、基本的に鳴きません。

タヌキは怒りや警戒心を抱いているとき以外、感情をあまり表に出さない動物として知られています。そのため、声だけでなく、表情や体の動きに変化が見られることもほとんどありません。

足跡

タヌキの足跡はサイズが約3~4cmで、人間の手のひらにあたる「掌球」の跡と、指にあたる「指球」の跡が4つ残ります。また、指球の先には小さな爪の跡も見られるのが特徴です。

タヌキの指の本数は4本なので、足跡の指が4本でない場合は、別の動物の可能性があります。ただし、地面の状態によっては跡が完全に残らないこともあるため、足跡だけで断定するのは難しいです。

足跡の大きさも重要な判断材料です。タヌキの足跡が約3~4cmであるため、それより明らかに大きいまたは小さい場合は他の動物である可能性が高いでしょう。これらの特徴を参考に足跡を観察してみてください。

フン

タヌキのフンは楕円形で、大きさは約2~3cmです。ただし、1カ所にまとめてフンをする「溜めフン」の習性があるため、フンが集まり5cmほどの塊になっていることもあります。

一方、ネズミやコウモリなどの小動物のフンは、タヌキのフンより小さく、細長い形をしているのが特徴です。

タヌキは雑食性で、小動物や野菜、果物、魚介類などさまざまな食べ物を摂取します。そのため、フンの中に消化されなかった骨や果物の種が混じっていることがあります。

これらの特徴をもとに、タヌキが近くにいないか探ってみましょう。

タヌキと間違えやすい動物の見分け方

害獣被害に悩まされているご家庭では、タヌキと他の動物を間違えてしまうこともあります。特に、アライグマやアナグマ、ハクビシンといった動物は、見た目や行動がタヌキと似ているため間違いやすいです。

適切な駆除を行うためには、まず対象となる動物を特定することが重要です。本章では、タヌキと間違えやすい動物の特徴を比較し、それぞれの見分け方を解説します。

タヌキ

他の動物との違いを理解するために、まずタヌキの特徴を押さえておきましょう。

タヌキはイヌ科の動物で、体つきや姿勢が犬に似ています。一番の特徴は目の周りの黒い模様です。この模様は左右がつながっておらず、個性的な見た目をしています。

体全体では、丸みを帯びた耳、黒い手足、胸から肩にかけての黒い模様が目立ちます。

住宅街に現れるタヌキは、ゴミを漁ったりフンを落としたりすることがあり、こうした行動が原因で駆除の対象となることもあります。

これらの特徴を覚えておくと、タヌキを見分けるのに役立つでしょう。

アライグマ

アライグマはタヌキよりやや小柄な体型で、しっぽにあるしましま模様が特徴的です。目の周りが黒い点はタヌキと似ていますが、アライグマは目の間も黒いのに対し、タヌキは目の間が白いという違いがあります。

また、アライグマは手足が非常に器用で、「洗いものをするような動作」を見せることでも知られています。住宅街に現れると、その器用さを生かして塀を登り住宅の敷地に侵入したり、庭木に登って果物を食べたり、ゴミを漁ったりすることがあります。

このような行動が原因で、アライグマが被害を引き起こすことも少なくありません。

アナグマ

「クマ」という名前がついていますが、アナグマはイタチ科の動物です。イヌ科のタヌキと比べると上半身が細く、顔が細長いという特徴があります。また、足が太く、しっぽが短いこともタヌキとの見分けポイントです。

アナグマはその名のとおり、土を掘って作った穴を巣にして生活しています。昼間は巣穴に隠れており、夜になると食料を求めて活動を始めます。

雑食性で、昆虫や小動物だけでなく、農作物やゴミなども食べるため、農地や住宅街で被害を引き起こすことも珍しくありません。

ハクビシン

ハクビシンはネコ目ジャコウネコ科に属し、猫のような優れた運動能力を持っています。体長はタヌキとほぼ同じですが、足が短く胴が細長いのが特徴です。また、額から鼻にかけて白い線が入っているのもハクビシンの特徴です。

生息地は森林だけでなく、住宅街にも広がっています。ただし、ハクビシンは臆病な性格のため、人目につきやすい場所は避けます。その結果、住宅の床下や屋根裏といった安全で隠れられる場所に住み着くことも珍しくありません。

タヌキが住み着くことによる被害

タヌキが庭や屋根裏、物置などに住み着くと、生活環境や経済面でさまざまな被害が発生する可能性があります。タヌキがもたらす被害を正しく理解し、早めに対策を講じることが重要です。

本章では、タヌキが住み着くことによる主な被害を解説します。

悪臭

前述のとおり、タヌキには、特定の場所を決めて排泄をする溜めフンの習性があります。一頭が糞尿をする場所を決めると、他のタヌキも同じ場所を利用するようになります。

こうした習性のため、糞尿が蓄積し、強烈な悪臭が発生します。ひどい場合、ニオイがリビングやキッチンなどの室内にまで広がり、深刻な被害を引き起こすこともあります。

家屋の劣化

タヌキの溜めフンが原因で、天井や柱が腐敗したり、天井にシミができたりすることも珍しくありません。被害が進行すると、最悪の場合、天井が抜け落ちてしまうこともあります。

このような深刻な状況になると、タヌキの駆除だけでなく、リフォームが必要になることもあります。被害を防ぐためには、早めの対策や定期的な点検が重要です。

健康被害

タヌキは多くの害虫や病原菌を持っていることがあり、放置すると人間やペットに健康被害をもたらす可能性があります。特にアレルギーや皮膚病などの影響が懸念されます。

中でも「疥癬症(かいせんしょう)」という病気が知られています。これは、ヒゼンダニと呼ばれるダニが原因で起こる皮膚病です。人間への感染は稀ですが、ペット、特に犬に感染するおそれがあるため注意しましょう。

騒音

タヌキが住宅地や建物内に住み着くと、騒音による被害が大きな問題となります。タヌキは夜行性のため、夜間の活動がご家族の睡眠に悪影響を及ぼすことがあるでしょう。

以上、タヌキが住み着くことによって生じるおそれのある代表的な被害を紹介しました。タヌキによる被害が深刻化すると暮らしや健康に重大な影響をおよぼすため、姿を見かけたら素早く対処することが大切です。

タヌキの駆除ならお任せください!

ここまでタヌキ駆除の方法や注意点などをご紹介しましたが、本記事で紹介した内容を実践しても必ず成功するという保証はありません。また、タヌキは帰巣本能の強い生き物なので、適切な方法で確実に駆除しないと再び姿を現して被害を与えるおそれがあります。

さらに、タヌキやそのフンには病原菌が付着しており、身体に移って感染症を引き起こす危険性もあります。安全かつ適切にタヌキを駆除するためにも、プロの害獣駆除業者に依頼することがおすすめです。

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まとめ

タヌキ駆除は、まず家や敷地から追い出し、侵入経路を封鎖し、その後に清掃を行うという流れで進めるのが基本です。しかし、タヌキは帰巣本能が強く、確実に駆除しないと再び戻ってきて被害を繰り返す可能性があります。

タヌキによる被害は、農作物を食い荒らすだけでなく、騒音や悪臭、健康被害など多岐にわたります。愛らしい見た目に油断せず、早急に対応することが大切です。

被害を根本的に解決し、再発を防ぐためには、プロの害獣駆除業者に依頼するのがおすすめです。適切かつ安全な駆除をご希望の方は、再発防止に強い「ハウスプロテクト」にぜひご相談ください。

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