アライグマの被害に遭っている方で、アライグマの捕獲に踏み切ろうとしている方は、法律上の手続きを知っておく必要があります。
後述の通り、アライグマの捕獲には2つの法律が絡んでおり、申請が必須です。もし申請せずに捕獲してしまうと、刑罰が課せられる場合があります。
そこで本記事では、アライグマの捕獲に関わる法律と申請方法について説明していきます。
アライグマの捕獲方法とは
アライグマは、被害を受けている人にとっては害獣ですが、実は法律によって守られており、 勝手に捕獲、駆除すると罰せられてしまいます。そのため、法律をしっかりと理解したうえで、法律に従った方法で捕獲を行う必要があります。
アライグマを捕獲するうえでの重要な法律は、外来生物法と鳥獣保護法の2つです。
そして、アライグマの捕獲に当たっては、どちらの法律に則って捕獲を行うのかを明確にすることが重要となります。
外来生物法による捕獲
外来生物法は、正式名称では、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」といい、平成16年法律第78号に当たります。
外来生物法の目的は、「特定外来生物による生態系、人の生命若しくは身体又は農林水産業に係る被害の防止」であり、要するに、海外から来た動物によって日本国内に悪影響が及ばないようにするための法律です。
アライグマは、外来動物に指定されており、この外来生物法においては駆除対象の動物とされています。しかし、だからといって勝手に捕獲して良いわけではなく、捕獲するには、自分が住んでいる市町村の「防除作業従事者」にならなければなりません。
アライグマの捕獲方法は、厳密には各自治体によって対応が異なるため、詳しい方法を知りたい場合には、各市町村の外来生物防除担当に問い合わせるのが確実です。
外来生物法において防除の確認・認定を受けた場合、生きているアライグマを捕獲したうえでの「運搬や保管を伴う防除も可能」とされています。
また、外来生物法で捕獲を行って良いアライグマの数量については、複数年に渡る「防除実施計画」を策定すれば、捕獲数量の制限なく確認・認定を受けられるようになっています。
鳥獣保護法による捕獲
鳥獣保護法とは、「野生鳥獣による生活環境、農林水産業又は生態系に係る被害の防止等」を目的とした法律であり、要するに、鳥獣による生態系などへの被害を抑えるための法律です。
外来生物法と違うのは、外来生物の根絶や抑制も視野に入れ、積極的な有害鳥獣捕獲も可能としている点です。具体的には、許可を受ければ超鉄砲による猟も可能とされています。
また、鳥獣保護法では「捕獲」は認めているものの、生きているアライグマを捕獲し、それを「運搬・保管」することは認めていません。したがって、鳥獣保護法に則って捕獲を行った場合、捕獲現場で殺処分を行うか、地方公共団体職員へ引き渡すことになります。
これに加えて、鳥獣保護法では、アライグマの捕獲数量を決めて申請することが求められています。
法律を犯したら……?
外来生物法にせよ鳥獣保護法にせよ、法を犯すと罰金や禁固刑に課せられることになります。
したがって、アライグマを捕獲・駆除できるような環境が整ったからといって先走ったりせずに、法律を踏まえて慎重に対応する必要があります。
外来生物法を犯した場合
まず、外来生物法を犯した場合には、違反する条項にもよるのですが、以下のような罰が課せられます。
- 「三年以下の懲役」若しくは「三百万円以下の罰金」に処し、又はこれを併科
- 「一年以下の懲役」若しくは「百万円以下の罰金」に処し、又はこれを併科
- 「三十万円以下の罰金」に処する
鳥獣保護法を犯した場合
鳥獣保護管理法に違反して野生の鳥獣を捕獲してしまうと、「1年以下の懲役」又は「100万円以下の罰金」に処せられます。
参考:
特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律|e-GOV法令検索
捕獲までの申請方法とは?
アライグマの捕獲には、それぞれの法律ごとに少しだけ申請内容が異なります。ここでは、その申請の手順を説明していきます。
外来生物法に則った申請手順
外来生物法によって捕獲等を進める場合、次の4つの手順を踏みましょう。
手順1:地域住民や土地所有者との合意形成を図る(専門家にも意見を求める)
説明会やパンフレットを配布したり、住民説明会を開いたりして、地域住民や土地所有者との合意形成を図ります。その際、動物愛護的な立場からの反対意見が出ることもあるので、注意が必要です。必要に応じて専門家に意見を求めると、精度の高い対策計画を策定出来ます。
手順2:捕獲従事者を確保(育成)する
捕獲は猟友会や捕獲業者に委託するケースもありますが、狩猟免許を持った人の指示の元で地域住民が行うケースもあります。
免許を持った人の数が十分でないな場合、講習会などで育成を図る場合もあります。その場合、十分な知識などを持った人がリーダーとなって指導的な役割を果たす必要があります。
手順3:防除実施計画を作成する
外来生物法に則ってアライグマ捕獲の申請を出すには、防除実施計画を作成し、防除の目的と手法を明確に示す必要があります。この防除実施計画に記載する必要があるのは以下のようなことです。
- 防除の目標(予想される被害状況を踏まえた防除目標。区域からの完全排除/影響の封じ込め/影響の低減など)
- 防除の内容(捕獲方法や、捕獲したアライグマの殺処方法など)
防除の期間としては、複数年に渡る計画も作成可能です。こうした計画の策定にあたっては、実施体制の整備やモニタリング方法も定めておくのが望ましいです。
手順4:計画が受理される
計画の内容に問題が無ければ申請が通り、外来生物法に則してアライグマの捕獲を行えることになります。
鳥獣保護法に則った申請方法
鳥獣保護法の場合、手順1、3、4は、外来生物法の場合と一緒です。唯一異なるのは手順2で、鳥獣保護法に則ってアライグマを捕獲する申請を出す場合、以下のような書類を申請窓口に提出します。
- 鳥獣捕獲許可等申請書
- 捕獲等又は採取等をしようとする事由を証する書類
- 捕獲等又は採取等をしようとする場所を明らかにした図面
- 捕獲等の方法を明らかにした図面
- 被害状況写真
- 被害防除対策状況写真(又は図面)
- 狩猟免状の写し
- 有害鳥獣捕獲依頼書
- その他必要と認められる図書
- 従事者証交付申請書
参考:
野生鳥獣の捕獲について|東京都環境局
鳥獣被害対策 関連法令|農林水産省
捕獲後の注意点
上記のような申請を行ったうえで、実際に捕獲を行うわけですが、その際には、以下のような注意点があります。
捕獲時の注意点
まず捕獲時には、アライグマに襲われる可能性があります。捕獲されたアライグマは逃げ出そうとして暴れるものであり、檻から前肢を出して人間ををひっかくこともあります。そのため、アライグマを捕縛する際には、最低でも手袋をはめるなど安全の確保が不可欠です。
また、アライグマは、レプトスピラ症やアライグマ回虫症など人間が感染する病気を持っているのも危険です。捕獲に関わる人全員にこうした危険性を周知しておきましょう。
なお、捕獲の際には、捕獲の許可時に発行される許可証や従事者証を携帯している必要があります。
殺処分時の注意点
外来生物法では、アライグマを捕獲した際には、「やむを得ず殺処分しなければならない場合には、できる限り苦痛を与えない適切な方法で行うものとする。」と定められています。
ただし、各都道府県の鳥獣保護計画や、市町村の外来生物防除計画において、殺処分に関して異なる対処が求められている場合もあるので、詳しくは各市町村の外来生物防除担当などに問い合わせてみてください。
死骸処理時の注意点
死骸を処理する際には、廃棄物に関する法令を順守する必要があります。また、同時に衛生面や感染症予防、悪臭や衛生害虫の発生防止などへの配慮も必要です。様々な観点を考慮すると、アライグマの死骸を処理する方法としては、焼却処分が最も望ましいと言えます。
参考:
「アライグマ防除の手引き(計画的な防除の進め方)」(改訂版)|環境省
アライグマ駆除はプロにまかせよう
以上のように、アライグマの捕獲や駆除には、外来生物法と鳥獣保護法という2つの法律が関係してくるため、法律上の手続きを十分に踏まなければ、自分で対処することができません。
しかも、対処する際には、アライグマに襲われてケガをしたり、感染症に掛かってしまう可能性もあります。加えて、捕獲後には、殺処分や死骸の処理なども必要で、決して気持ちの良い作業ではないでしょう。
そのため、アライグマを駆除したい場合には、自分で行わずにプロの業者に任せてしまうのが一番簡単です。ハウスプロテクトは、アライグマの捕獲や駆除を多数行ってきた実績があり、現地調査やお見積りは無料で行わせて頂きます。
法律に則った上で、捕獲から殺処分、死骸の処理まで一貫して行わせて頂きますので、法律を守りながら自分で対処するのが大変と感じた方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。